生薬煎じ薬と漢方エキス製剤について

漢方

漢方薬と一口に言っても、煎じ薬とエキス製剤ではいろいろな違いがあります。当院では煎じ薬を用いて、各種慢性疾患・難病などの治療を行っています。 エキス製剤は複数の生薬を決まった割合で用いて大量生産された製品で、保険適用があります。その反面、薬効は煎じ薬にははるかに劣りますし、患者さんお一人お一人に合わせて不要な生薬を除いて必要な生薬を加味することできないという点で軽症の患者さんの治療以外では時に力不足となることもあります。このため、慢性病の根本的な治療には不向きなこともあります。

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生薬煎じ薬では生薬をひとつひとつ吟味して、必要な種類を必要な量だけ配合することが可能です。当院では最新の中医学理論に基づいてご病状を診断・分析し、それに沿った治療プランを説明・実施するべく、煎じ薬を用いて各種難病・慢性病の治療に取り組んでいます。
保険の制約にしばられて、本当に必要な種類の生薬を割愛したり、本当に必要な用量を減量したりして本来の配合からかけ離れていくことになれば、治療効果も低下します。このため当院では治療効果を最優先すべく、品質を吟味した上で厳選した可能な限り上質な生薬を使い、また配合もその人・その時に合わせて最適のものを最適の量だけ使った治療を提供しています。

生薬煎じ漢方薬の作り方・飲み方

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生薬煎じ漢方薬は、薬効成分の品質やその配合次第で、病状・体質にぴったりの治療効果を期待できます。しかし服薬するには「煎じる」という作業が必要です。

決して難しいことではありません。生薬を煮て、それを飲むだけです。古典を参照したり、日本や中国の研究家の先生方にうかがいますと、いろいろ流儀がありますが、私個人の考え方としては、細かい手順よりも「毎日作って毎日飲めること」が一番重要です。

ただ、簡単でよいとは申しましても、いくつか最低限必要なポイントもございます。ここではそれらを解説いたします。

安全について

薬効成分を煎じだすには時間がかかりますので、鍋や土瓶などを使ってご家庭のコンロで作られる場合、十分火の元にご注意ください。少し慣れてこられた頃に、ふきこぼれて火が消えたり、火を消し忘れて焦がしたりする方が時々おられます。

ご準備について

  1. 鍋の材質は、土鍋・耐熱ガラス・ホーロー・ステンレスなどがベターです。煎じている間は生薬が水面の下におさまっている必要があるので、底面積の小さい鍋が良いでしょう。もちろんIHの鍋でも問題ありません。
    鍋の金属成分が溶け出す可能性のある鉄・銅・アルミなどの鍋は避けてください。
  2. 水は特に指定はありません。強いて言えば、硬水では有効成分が溶け出しにくい傾向があるので避けてください。

手順について

  1. 鍋に適量(600~900ml前後)の水を入れて、一日分の煎じ薬(当院で使用している生薬専用の紙パックはそのまま煎じることができます)を投入します。
    生薬に水分を含ませるためすこし浸して置いてから煎じ始める方法もあります。
    最初の水の量は、出来上がり状態を参考に調節してください。
  2. 火加減は、沸騰したら弱火にして下さい。そこから約30分間煎じます。
    ふきこぼれ・こげつきを起こさないよう十分注意してください。鍋のふたは無い方がふきこぼれにくいでしょう。
    水加減、火加減はコンロや鍋の状態、生薬の量などにより異なります。
  3. 火を止めたらすぐに生薬をパックのまま取り出して、煎じ液をよくきってください。出来上がったものが一日分の薬です。

飲み方について

一日3回を目安に分服してください。慢性的なご病気の治療では、服薬のタイミングは食間でも食後でもあまり問題ありません。
有効成分の血中濃度を保つため、可能な範囲で分服して下さい。
服薬開始直後は、胃腸をお薬に慣れさせるために念のため食後に服薬される方が無難でしょう。
服薬の際には常温以上に温めていただいた方が良いでしょう。

保存について

生薬煎じ漢方薬は保存料など一切の添加物が含まれておりません。フレッシュジュースのように傷みやすくなっております。お薬が出来あがったら、あら熱をとってから、必ず季節を問わず冷蔵庫保存してください。日中に分服される分をお持ちいただく場合も、必ずよく冷えた状態で持ち運んでください。

自動漢方薬煎じ器について

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薬効成分をできるだけ効率的に煎じだせるような火加減を自動的に電子制御するようになっています。また煎じるときのにおいが少なくなり、鍋はだでの微小な焦げ付きによる苦味も軽減されます。 毎日のことですから、純粋に手間が省けますし、火の元を気にする心配から開放されてよかったとおっしゃる患者様が多いです。